Q&A

債務整理の進め方

  1. 1.利息制限法の引き直しをおこなっても、債務が残る場合の対処については2つの方法があります。
    残っている債務が少額で比較的収入が安定し、毎月一定の金額を返済に廻す余裕がある場合は、金融業者と交渉し、毎月5,000円〜10,000円ぐらいの分割弁済の合意を致します。
    しかし、一般的には金融業者も1ヶ月2,000円や3,000円の返済では承知しませんし、返済期間もせいぜい2年が限度であるため、残額が高額であるときは分割返済は無理です。
    また、債権者数が多い場合は一件当たり10,000円の返済としても、すぐ1ヶ月の弁済合計が10万円以上となってしまい、現実的に返済できない数字となってしまいます。
    よくこれから昼間と夜の仕事との両方をやる予定であるため、高額な返済でも出来ますという方がおられますが、無理が続くはずがなく、本人の意欲は別にしてすぐ返済が止まってしまうことは明らかです。
    そのため、弁護士としては、責任を持って分割弁済の交渉を行うことはできません。(分割金の不払いが発生すると、金融業者は弁護士に返済請求をしてくるため、弁護士から依頼者に再々請求することとなり、双方にとって不幸です。)
  2. 2.この様に、分割弁済ができるのは限られた場合です。むしろ、分割弁済を続けることにより、いつまでも債務を引きずることとなり、家計の根本的な再建が困難となる場合が多く、一時の感情的な思いより、実情を直視して対処方法を考えることが必要です。
    分割弁済を行わない場合は、破産手続を選択します。破産手続は、債務の内容と財産の状況の明細を裁判所に提出し、破産開始決定を受けます。相当以前は、破産申立人をその都度裁判所に呼び出していましたが、あまりにも破産申立をする人が多く、裁判所に来てもらってもそれほど意味もないことから、現在は破産申立人に裁判所に1度も来てもらわずに決定がなされる場合がほとんどです。
    もっとも、財産が多くあり、これを現金化して分配する必要がある時は、破産管財人(通常弁護士)を選任して破産手続を進めることとなりますが、その場合は当然何回か裁判所に来て頂く必要があります。しかし、通常は債権者に分配する財産がない、もしくは財産があってもオーバーローンなどで実質的には無価値の財産の場合は、管財人を付けないのです。
    破産申立をするのは、それ自体に意味があるわけではありません。破産申立をして初めて認められる「免責決定」を受けるためです。
    破産申立に至った事情がパチンコや競馬の賭け事ではなく、浪費もしていないという場合は通常免責が認められるのです。免責が認められると債務が一切消えるため、月給はすべて自分達の生活のために使うことが出来るのです。
    サラ金業者に支払をするため、子供達に不自由な生活を強いていたことも解消されることになります。
  3. 3.ところで、破産するとデメリットも多いのではないかと心配される方がいますが、それほどデメリットはありません。戸籍に載るわけではありませんし、選挙権もそのままです。銀行からお金を借りることは少し無理ですが、銀行に預金をし出し入れすることも、自動引き落としをすることも何ら問題なくできます。銀行は預金をすることを歓迎してくれます。
    また、医師、歯科医師、一級建築士などの技術資格については、これが抹消されることはありません。これら技術的な技能は、破産とは全く関係なく、その人が持っている特技であるためです。破産した医師が手術をしたとしても、何の問題もありません。
    しかし、弁護士や税理士、保険代理店などの仕事に従事する人は、人のお金を預かる仕事です。そのため、この様な人が破産開始決定を受けると資格を失います。
    また、最近は信用情報機関が発達しており、破産した場合情報に載ることとなります。そのため、5年間はローンを組んだりカードに加入するなどは無理です。
    また、勤務先の会社などに知られないか心配される方もおられますが、今まで会社に知れたという方はまずおられませんでした。会社が毎日官報を見ていれば分かるかも知れませんが、その様な暇な会社はありません。
    無理に破産を勧めるわけではありませんが、変に気を廻さず客観的視点から破産を選択して頂いたらと思います。

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